2026年9月6日、🇩🇪ドイツ東部のザクセン=アンハルト州で州議会選挙が行われ、「ドイツのための選択肢」、略称AfDが43.8%を取った。
投票率は約77.8%で、日本の近年の衆議院選挙が50%台前半であることを考えると、異常に高い👏
この政党は選挙の時点で、州の情報機関から「右翼過激主義」の指定を受けたままだった。
AfDに指定を出したドイツ政府は、SNSへの書き込みを理由に市民の家へ警察を送り、月刊誌の発行会社を禁止し、対ロシア制裁を続けてドイツの工業が止まるのを見ていた。
この回では、🇩🇪ドイツ政府が国民に対して何をしてきたのか、そして国民がそれにどう答えたのかを順に見ていく。
👮警察は、SNSに投稿した市民の家へ朝6時に来る
2025年6月25日の朝6時55分、ベルリン州刑事局の捜査官が、市内7つの地区で9軒の家の玄関を開けさせた。裁判所が出した家宅捜索令状を持っている。
対象になったのは26歳から70歳までの男性8人と女性1人で、9人は互いに関係がなく、それぞれ別の事件として扱われていた。共通しているのは、X、Facebook、Threadsに何かを書き込んだことだけである。
ベルリン検事長室の発表によれば、捜索は成功し、証拠品としてインターネットに接続できる端末が見つかった🙄
この日、ドイツ全土で同じことが行われていた。連邦刑事庁が調整する「犯罪的ヘイト投稿と戦う行動日」の12回目である。1回目は2016年に行われ、2026年2月25日には13回目が実施された。
連邦刑事庁は行動日のたびに件数を発表し、SNSでも告知する。捜査の報告であると同時に、これから書き込もうとしている人間への通知でもある。
年金生活者の家に、警察が来た😱
2024年11月、バイエルン州に住む64歳の年金生活者シュテファン・ニーホフの自宅が捜索された。夜明けに警察が来て、タブレットを押収した。
容疑は3つだった。当時の経済大臣を「プロの間抜け」と呼ぶ画像を転載したこと。ドイツの刑法が禁じるナチスの標章を使用したこと。そして民衆扇動である。
ニーホフが転載していたのは、ナチス時代に撮影された当時の写真だった。彼はそれを現代の出来事と並べて、差別を批判する意図で投稿していた。批判の意図があったことは、後に裁判所自身が認めている。
それでも、画面にナチスの標章が映っているという理由で、標章使用の4件について有罪になった。侮辱と民衆扇動の容疑は取り下げられた。
ニーホフは判決に納得せず争っていたが、2026年1月に脳卒中で死んだ。上訴の結論は出ていない。彼の名前が知られているのは、彼が自分から公表したからである。投稿を理由にした立件は毎年1万件を超えているが、ドイツの新聞はほとんど報じない。
立件された投稿は、3年で4倍を超えた⤴️
🇩🇪連邦刑事庁の統計では、犯罪として立件された投稿は2021年に2,411件だったが、2024年には10,732件になった。3年で4倍を超えている。13回目の行動日では、その約3分の2が「右翼」に分類された。
警察が見ているのは、通報された投稿だけではない。2026年4月14日と16日、ザクセン=アンハルト州の州刑事局は、政治家がSNSに載せた249件の投稿と、そこに付いた2万7,000件のコメントを点検した。
州刑事局はこの点検について、州議会選挙に関連して違法な書き込みが見られる、と説明している。
選挙の年に、州の警察が、政治家への書き込みを2万7,000件読む。
🇩🇪ドイツ政府は「ドイツに検閲はない」と答えた。
2025年8月、🇺🇸アメリカの国務省が毎年出している人権報告書が、ドイツの人権状況は悪化したとし、重大な問題として「表現の自由への制限」を挙げ、SNS事業者に投稿の削除を義務づける制度を、検閲として指摘している。
🇩🇪ドイツ政府の副報道官は翌日ベルリンで、ドイツに検閲はない、我々は極めて高い水準の表現の自由を持っており、今後もあらゆる形でそれを守る、と答えた。連邦議会で与党会派を率いる議員も、ドイツでは誰でも思うことを言える、自由な国だ、と述べている。
🇺🇸報告書が扱っていたのは2024年である。その年、立件された投稿は10,732件に達し、11月には年金生活者の家に夜明けに警察👮が来た。
🇩🇪政府は投稿を消させ、書いた人間の情報を受け取る
ドイツ政府は検閲を否定した。では、市民が何を書き込んだかを、警察はどうやって知るのか。SNS企業が教えている。法律でそう決められているからである。
SNS企業に投稿を消させる法律ができた
2017年6月30日、🇩🇪連邦議会がネットワーク執行法を可決した。10月に施行されている。
内容は単純である。大手のSNS事業者は、明らかに違法な投稿を通報から24時間以内に削除しなければならない。判断が難しいものは原則7日以内。従わなければ、最大5,000万ユーロ、日本円で80億円を超える制裁金を科される。
この設計には、施行前から指摘があった。削除の期限が短く、制裁金が重い場合、事業者は一件ずつ違法かどうかを精査する余裕がない。判断に迷う投稿は、消しておいたほうが安全になる。
人権団体はこの法律を、民間企業を検閲者に変えるものだと批判した。削除された側が不服を申し立てる窓口も、法律には用意されていない。
投稿を消すかどうかを決めているのは、裁判所でも警察でもなく、制裁金を避けたい企業の担当部門である。
2022年から、SNS企業は「消す」だけでなく「報告する」義務を負った
2022年2月1日、この法律が改正された。ここが転換点である。
改正後、対象となるSNS事業者は、特定の犯罪に当たる投稿を削除するだけでなく、連邦刑事庁に報告しなければならなくなった。連邦刑事庁はその報告を各州の警察に振り分ける。
この改正によって、削除は捜査の入り口になった。それまで、投稿が消えることと、投稿者に警察が来ることは、別の出来事だった。改正後は一続きになっている。企業が消した投稿の書き手の情報が、そのまま警察の手元に届く。
図書館が、問題のある本を書架から抜くだけでなく、その本を借りた人の名簿を警察に提出する。そういう制度に変わったと考えれば近い。
政府がお金を出した民間団体が、削除を要求する
🇩🇪連邦刑事庁は「インターネット上の犯罪的内容のための中央通報窓口」を運営している。事業者からの報告だけでなく、市民からの通報も受け付ける窓口である。
2025年6月25日の家宅捜索について発表したベルリン検事長室は、その文書のなかで市民に4つのことを勧めている。
警察に告訴する。REspect、HateAid、連邦刑事庁の中央通報窓口といった通報先に連絡する。SNS事業者に通報して削除を求める。そして、証拠として投稿のスクリーンショットを自分で保存しておく。
捜索の結果を報告する文書が、次の捜索のための通報を募集している。
ここで名前の挙がったREspectとHateAidは、警察でも役所でもない。どちらも民間団体である。
REspectは、バーデン=ヴュルテンベルク州の青少年財団が2017年から運営している通報窓口で、連邦家族省の助成事業「デモクラシーを生きる」から資金を受けている。2024年の助成額は29万2,000ユーロで、連邦が14万899ユーロ、バイエルン州が12万ユーロ、バーデン=ヴュルテンベルク州が3万1,101ユーロを出した。
HateAidは2018年に設立されたベルリンの非営利有限会社で、2025年6月時点の職員は54人。公的資金は連邦司法省と連邦家族省から入っている。
これらの民間団体には、法律上の特権がある
🇪🇺EUのデジタルサービス法22条は「信頼できる通報者」という区分を作った。この認定を受けた団体が通報した場合、SNS事業者はその通報を優先的に処理し、遅滞なく削除などの措置を取らなければならない。法律で義務づけられている。
🇩🇪ドイツでこの認定を出すのは連邦ネットワーク庁である。2024年10月1日、ドイツで最初の認定を受けたのがREspectだった。2025年6月2日には、HateAidを含む3団体が追加で認定された。
つまり、こういう順序になる。ドイツ政府が民間団体に資金を出す。ドイツ政府の機関がその団体を認定する。認定を受けた団体がSNS企業に通報する。SNS企業は、その通報を他より先に処理しなければならない😨
連邦ネットワーク庁が出した手引きは、違法な内容の例として「ヘイトスピーチ、差別、または市民的な議論に負の影響を与える内容」を挙げている。最後の一項は、刑法のどの条文にも対応していない。
🇷🇺政府はロシアへの敵意を国民に売り、工場が止まった責任を転嫁した
SNS投稿を消させる法律も、家宅捜索👮も、それ自体が目的ではない。この約4年間、ドイツ政府が国民に何を信じさせてきたかを見ていく。
🇺🇸大統領が「終わらせる」と言ったとき、🇩🇪首相は隣で聞いていた
2022年2月7日、ワシントンのホワイトハウス。アメリカのバイデン大統領と、就任から2か月余りのドイツ首相オラフ・ショルツが並んで記者会見に臨んだ。
記者がノルドストリーム2について質問した。当時このパイプラインは98%まで完成しており、稼働の許可を待っている段階だった。
バイデンはこう答えた。🇷🇺ロシアが侵攻すれば、ノルドストリーム2はもう存在しない。我々が終わらせる。そして付け加えた。約束する。我々はそうできる。
隣に立っていた🇩🇪首相は、ノルドストリームという言葉を一度も使わなかった。共に行動する、対ロシアの措置は非常に厳しいものになる、と述べただけである。
当時のドイツは、天然ガスの輸入量の約55%をロシアから得ていた。ノルドストリームは、化学、自動車、鉄鋼といった、ドイツの輸出を支える産業の電気代とガス代を決めていた設備である。家庭の暖房費もここにつながっていた。
外国の大統領が、自国の産業と家庭を支える設備について、公の場で「我々が終わらせる」と言った。ドイツの首相は、それを隣で聞いていた。
7か月半後、そのパイプラインは海底で爆破される。
2022年2月27日、🇩🇪首相が国のあり方を変えると宣言した
この記者会見の20日後、🇷🇺ロシアが🇺🇦ウクライナに侵攻した。その3日後、ショルツは連邦議会で演説した。🇩🇪ドイツではこの演説を「時代の転換」と呼ぶ。
内容は3つに整理できる。
ロシアは商売の相手ではなく、安全保障上の脅威である。🇩🇪ドイツ連邦軍の主な任務は、海外での危機管理ではなく、ヨーロッパでの防衛である。そのために軍に1,000億ユーロの特別基金を組み、防衛費を国内総生産の2%に引き上げる。
🇩🇪ドイツは戦後、軍事に金をかけることに最も強い抵抗があった国である。その抵抗を、この演説が一度に外した。
そして国民の意識も動いた。コンラート・アデナウアー財団の調査では、ロシアを脅威と見るドイツ人の割合は2021年と比べて約31ポイント増えた。
ドイツは自分の産業の土台を捨てた
🇩🇪ドイツの製造業は、🇷🇺ロシアから来る安いガスを前提に組み立てられていた。化学、金属、ガラス、紙。これらの産業は、電気代とガス代が製品価格の大きな部分を占める。
ロシアからの直接輸入は、2021年の331億ユーロから2024年には18億ユーロになった。約95%減である。
結果は、ドイツ政府自身の統計に出ている。連邦統計局が2026年5月15日に発表した数字はこうだ。2022年2月から2026年3月までの4年間で、エネルギーを大量に使う産業の生産は15.2%減った。同じ期間の産業全体は9.5%減である。
働く人も減った。この分野の就業者は2022年2月の84万7,700人から、2026年3月には79万4,400人になっている。5万3,300人が職を失った🥲
連邦統計局は、この数字の起点を「ロシアのウクライナに対する侵略戦争が始まった月と、それに続く制裁」と書いている。役所自身が、制裁を起点として計算している。
燃料⛽️を止めたのは誰だったのか
2022年9月26日、バルト海の海底で、ノルドストリームのパイプラインが爆破された。4本のうち3本が使えなくなった。🇺🇸バイデンが「我々が終わらせる」と言ってから、7か月半が経っていた。
爆破された時点で、ノルドストリーム1はドイツが1年間に発電のために使うガスの約半分を運んでいた。この数字は、後にドイツ連邦検察庁が起訴状に書いたものである。
爆破のあと、西側の政府関係者と主要メディアが示した犯人はロシアだった。それ以外の可能性を口にした者がどういう環境に置かれていたかは、ここまで見てきたとおりである。
2026年7月2日、ドイツ連邦検察庁が発表した。6月30日付で、🇺🇦ウクライナ国籍のセルヒー・Kをハンブルクの高等裁判所に起訴したという内容である。
起訴状に書かれていることは、曖昧ではない。
この人物は2022年当時🇺🇦ウクライナ軍の将校だった。ロシアの侵攻が始まったあと、彼と他の軍人が、🇺🇦国家機関の命令により、ノルドストリーム1と2を破壊する計画を立てた。目的は、ガスの供給を恒久的に断ち、ロシアがガスの収入を戦費に使えないようにすることだった。
潜水士数名、船長、爆薬の専門家からなる集団が、彼を責任者として編成された。2022年9月4日、彼は偽造したウクライナのパスポートでポーランド経由でドイツに入国した。
仲介者が偽の身分証を使ってロストックのドイツ企業から借りたヨットに乗り込み、軍用の高性能爆薬を大量に積んで、デンマークのボーンホルム島近くまで運んだ。9月22日までに、時限式の起爆装置を付けた爆薬をパイプラインに設置した。
罪状は、民用物への攻撃という戦争犯罪、爆発物の使用、建造物の破壊、公共サービスの妨害である。
この人物は2025年8月21日にイタリアで逮捕され、11月にドイツへ引き渡された。公判は2026年10月14日にハンブルクで始まる。
🇩🇪ドイツ国民は、3年10か月のあいだ違うことを聞かされていた
ノルドストリーム爆破🔥から起訴までの3年10か月、ドイツ政府と主要メディアが国民に語っていたのは、🇷🇺ロシアがガスを止めた、ロシアに依存してきたドイツが間違っていた、という話だった。
その間に、🇩🇪ドイツの工場は止まり、家庭は暖房費に苦しみ、エネルギーを大量に使う産業から5万3,300人が職を失った。ドイツ政府は自国の産業と家計が傷んでいくのを承知したうえで、ウクライナへの武器の供与と対ロシア制裁を続けた。
そして2026年7月、🇩🇪ドイツ連邦検察庁は、その爆破が🇺🇦ウクライナの国家機関の命令によるものだったと起訴状に書いた。ドイツが武器と資金を送り続けてきた、その相手の国である。
判決はまだ出ていない。確かなのは、3年10か月にわたって国民に語られてきた説明と、ドイツ国家の機関が裁判所に提出した正式な文書の内容が、食い違っているということである。
食い違いが表に出るまでのこの期間に、SNS企業に投稿を消させる法律は、書き手の情報を警察に渡す法律に改正された。
🇺🇦ウクライナ紛争における🇩🇪国民への認知戦の構図
2022年5月、🇩🇪内務省は1つの文書を作った。題は「ロシアのウクライナに対する侵略戦争に関連した偽情報についてのFAQ」。州と自治体、そして市民団体に配布され、連邦議会にも渡された。
内容は3つに分かれる。何が偽情報かの一覧、誰がそれを広めているかの指摘、そして市民が何をすべきかの指示である。
偽情報の一覧には、ロシアが戦争を強いられたという主張、ドンバスで残虐行為があったという主張、ウクライナに西側の生物兵器研究施設があるという主張、ウクライナがネオナチ政権に支配されているという主張、キエフ郊外の虐殺が自演だったという主張が並ぶ。いずれも反証済みだと文書は書いている。
誰が広めているかの項では、コロナ🦠対策への抗議運動が名指しされた。
文書はこう書く。この運動の一部は、コロナ否定論者やワクチン反対派と同様に、🇷🇺ロシアの偽情報を受け入れやすく、それをさらに広めている。そして、国家の正しさを否定しようとする者も、ロシアの物語に呼応しうる、と続けた。
感染対策に反対した人々が、この文書のなかで、🇷🇺ロシアの情報工作の担い手として扱われた。
市民が何をすべきかの項は、こう指示する。
疑わしい内容は共有するな。
現在の報道状況を反映しているのは、公共放送と真面目な日刊紙・週刊紙である。
連邦政府のサイトで確認せよ。
SNSでは公的機関の認証済みアカウントに従え。
政府が読むべきものを指定し、その活動に約1,110万ユーロを支出した。
🇩🇪情報機関は、選挙で第2党になった政党を「過激主義」に指定した
SNS投稿を消させ、家宅捜索を行い、🇷🇺ロシアへの敵意を国民に売る。それでも政府の思い通りにならないものが残った。選挙である。
憲法擁護庁は、名前とは違って情報機関👁️である
🇩🇪ドイツには連邦憲法擁護庁という役所がある。名前から想像されるのは、憲法の解釈を担う法律家の集まりだが、実態は違う。国内を対象とする情報機関である。
この役所は、団体や政党のなかに協力者を送り込み、通信を監視👁️し、対象者を尾行する。日本の役所でいえば、公安調査庁が最も近い。
憲法擁護庁はドイツに17ある。連邦に1つ、16の州にそれぞれ1つ。名前はどれも同じだが、州の憲法擁護庁は連邦の下部組織ではなく、それぞれが独立して判断を出す。ある州が単独で、ある政党を「過激主義」と決めることもできる。
どこまで監視してよいかを自分で決める機関👁️
🇩🇪連邦憲法擁護庁は、団体を監視する前に、その団体をどう扱うかを自分で決める。決め方は3種類ある。
「検討対象」と決めた場合、できるのは公開されている情報を読むことだけである。協力者を潜り込ませることも、通信を傍受することも許されない。
「疑いあり」と決めた場合、尾行と監視ができるようになる。他の役所が持っている個人情報も取り寄せられる。
「過激主義と確定」と決めた場合、手段の制限がなくなる。
危ないかどうかを判断するのも、その判断に応じて自分の権限を決めるのも、同じ役所である。裁判所の許可は要らない。
そしてもう1つ、「過激主義と確定」と決めたときにだけできることがある。その団体を、公に「過激主義」と呼ぶことである。
呼ぶことには実際の効果がある。そう呼ばれた政党は、他の政党から連立の相手として拒まれる。党員は公務員に採用されにくくなる。取引先の企業や団体が距離を取る。銀行が口座を閉じることもある。
扱いを重くすると、憲法擁護庁にできることが増える。同じことによって、その政党が社会のなかで動ける範囲が狭くなる。
😷最初に監視されたのは、政党ではなく市民だった
AfDへの指定を追う前に、この役所が誰を監視してきたかを見ておきたい。5年前に対象にされていたのは、政党ではなかった。
🇩🇪連邦憲法擁護庁は、2つのことを別々に決めている。
1つは、どこまで監視してよいかである。検討対象、疑いあり、過激主義と確定の3種類がこれにあたる。
もう1つは、その団体をどの分野の話として扱うかである。右翼過激主義、左翼過激主義、イスラム主義といった区分がこれにあたる。
2021年4月、この後者に新しい区分が加わった。名前は「国家の非正統化」という。国家の正しさを否定する動き、という意味である。それまでの区分のどれにも当てはまらない動きのために作られた。
このとき街頭にいたのは、🦠コロナ対策に抗議する人々である。店を閉めさせられた自営業者、学校に子どもを通わせられない親、医師もいた。役所は、この区分は政府への批判を対象とするものではない、と説明した。
そして2026年1月、ザクセン州の憲法擁護庁は、この区分を独立した監視区分として続ける必要はもうないとして廃止した。理由として挙げたのは、対象になる人数が減ったことである。区分の中身が正しかったかどうかについては、何も説明していない。
監視の相手は、街頭の市民から政党へ移っていた。
「極右」と呼ばれる🇩🇪政党は、何を主張しているのか
世界の報道は、この政党を「極右」と呼ぶ。日本の報道も同じである。
その呼び名を裏づける公的な根拠として最も強く使われているのは、ドイツの連邦憲法擁護庁が2025年5月に出した「過激主義と確定」の指定である。
そしてその指定は、2026年2月にケルンの行政裁判所が暫定的に止めている。憲法擁護庁が協力者や傍受で集めた材料を裁判に出さなかったことが、理由に挙げられた。
🇩🇪ドイツ政府の指定が止まっても、報道の見出しは止まっていない。
では、そこまでされるAfDは何を主張しているのか。
🇩🇪移民政策の転換
2026年4月、AfDのザクセン=アンハルト州支部が党大会を開き、「政権プログラム」という文書を採択した。後に増補され、約258ページになっている。100日計画と短縮版も別に出された。
最大の章は移民政策である。掲げられているのは2つの柱で、「退去」と「再移住」である。標語は「最初の1分から退去」。歓迎の文化を、別れの文化に置き換える、と文書は書いている。
具体的な項目はこうなっている。
出国義務のある者を即時に収容して「退去」させる。
退去用の収容枠を、既存の約30から少なくとも300へ増やす。
州予算で1億ユーロ規模の退去計画を組む。
州政府のなかに「再移住」の担当部署を置く。
庇護申請者を集中して収容し、給付は現金ではなく現物で渡す。
公益労働を義務づける。自主的な追加受け入れ計画を終了する。
そして、庇護に関わる事業への州の資金を打ち切る。
ドイツでこの分野に流れる公金は大きい。文書はそれを「庇護産業」と呼んでいる。
ザクセン=アンハルト州民が示したのは、ベルリン🇩🇪の政策への拒否だった
西側報道の見出しは「AfDが戦争を止める」「極右が政権を取る」と書く。しかし州議会が決められることと、連邦政府とEUが決めることは、法律で分かれている。
誰を国外に退去させられるか、庇護の資格を認めるか、ウクライナに武器を送るか、連邦予算をどう組むか。これらはすべて連邦の法律とEUの法律で決まる。州議会には決められない。
州ができるのは、退去用の収容施設の運用、収容の形態、州予算の配分、州の警察と州の憲法擁護庁の人事と運用、そして連邦参議院に議案を出すことである。
州の教職員組合が行った法的な分析では、政策集に掲げられた項目の相当数が、連邦またはEUのレベルでしか実現できない。
つまり、43.8%が意味するのは「明日ベルリンからの送金が止まる」ことではない。有権者が選んだのは方向である。
AfDが「再移住」と呼ぶものを、首相は「民族浄化」と呼んだ
AfDの主張のなかで最も論争になっている言葉が「再移住」である。この言葉について、AfD、🇩🇪首相、裁判所の3者が、まったく違うことを言っている。
AfD自身の定義は明確である。選挙後、連邦議会の同党会派の院内総務がロイターにこう答えた。再移住とは、出国義務のある外国人を、法に従って一貫して退去させること以外のなにものでもない。
一方、2026年9月9日、フリードリヒ・メルツ首相は連邦議会でこう述べた。あなた方AfDが宣伝する再移住は、職業、肌の色、出自による民族浄化以外のなにものでもない。再移住という言葉は、出自と肌の色による民族浄化の同義語だ。
AfDは2025年5月、連邦憲法擁護庁が出したAfDに対する「過激主義と確定」の指定を不当だとして、ケルンの行政裁判所に訴えていた。裁判所はその審理のなかで、「再移住」という言葉そのものを検討している。
2026年2月26日の決定で、裁判所はこう述べた。「再移住」の意味は不明確であり、そこから対象者を区別せずに送還するという具体的な政治目標は導けない。
連邦憲法擁護庁はこの言葉を、党が民族を血統で定義していることの表れだと解釈したが、その解釈は党の綱領に一貫性があることを前提にしている。
憲法擁護庁が裁判所に出した資料からは、その一貫性を読み取れない。
裁判所が「再移住」から具体的な目標は導けないと書いたのは2026年2月26日である。首相が「再移住」を民族浄化の同義語だと述べたのは、その半年余り後の9月9日である。首相は、裁判所が退けた解釈を、より強い言葉で言い直した。
🇩🇪首相の発言から2日後、AfDは名誉毀損で刑事告訴した。ドイツの連邦議会議員は憲法上、議場での発言について訴追されないが、その保護は侮辱には及ばない。
複数の歴史家が新聞紙上で、民族浄化という言葉が本来指すのは組織的な暴力であり、AfDの構想には当てはまらない、と述べている。
AfDは、対🇷🇺ロシア制裁の解除を求めている
AfDのザクセン=アンハルト州支部が選挙で掲げた政策集のなかで、移民政策に次いで分量が多いのは、対ロシア政策である。この州支部は、対🇷🇺ロシア制裁が州の経済を害していると非難し、制裁の解除を求めている。
そして、経済と文化の関係の回復、ロシア語教育の拡充、ロシアとの生徒交流の再開を掲げている。
🇺🇦ウクライナでの戦争についても、文書は「戦争」という語を使わず、「紛争」「対立」と呼んでいる。
連邦レベルのAfDの方針はより直接的である。連邦議会会派の文書は、ウクライナへの武器供与の停止を歳出削減の項目として明示し、外交方針として和平協定、対ロシア制裁の解除、武器供与の停止を掲げている。
選挙後、AfDの共同党首の1人はテレビで、ウクライナへの武器供与の停止と制裁の全面解除を改めて述べた。
エネルギーを大量に使う産業から5万3,300人が職を失い、ドイツ検察がその原因の爆破をウクライナ🇺🇦の国家機関の命令だと起訴している。
その国🇺🇦に武器を送り続けることをやめて、ガスを買っていた相手🇷🇺との関係を戻せ、というのがこの党の主張である。
「過激主義」の指定を受けた政党が州で第一党🗳️になり、党首は連邦議会で政権の終わりを告げた
ザクセン=アンハルト州の有権者は、約44%🗳️がAfDを選んだ
2026年9月6日、ザクセン=アンハルト州で州議会選挙が行われた。
AfDは比例の得票で43.8%を取り、定数83のうち39議席を得た。選挙区では41のうち38を取っている。過半数の42議席には、3議席足りなかった。
それまで州政府を率いてきたキリスト教民主同盟は17.2%だった。5年前の選挙から19.9ポイント落とし、得票を半分以下にしている。この党は、連邦ではフリードリヒ・メルツ首相が率いる与党である。
注目すべきは投票率である。約77.8%。
日本の近年の衆議院選挙が50%台前半にとどまることと比べれば、異常に高い。🇩🇪東西統一後のドイツの州議会選挙としても突出している。
有権者の8割近くが投票所に行き、そのうえで5人に2人以上がこの政党を選んだ。
そしてこの州のAfD支部は、2023年11月から州の憲法擁護庁に「過激主義と確定」の扱いを受けたままである。手段の制限がない状態で監視されている政党が、州第一党になった。
AfD党首は連邦議会で、メルツ政権は終わったと宣言した🎤
選挙の3日後、2026年9月9日。🇩🇪連邦議会では2027年度予算の一般討論が行われていた。最初に登壇したのは、野党第1会派AfDを率いるアリス・ヴァイデルである。
冒頭で彼女はこう述べた。ザクセン=アンハルトの有権者は、民主的な主権者の言葉で、あなた方に完全な明確さをもって伝えました。黒赤は終わりだ。
黒赤とは、キリスト教民主同盟と社会民主党の連立を指す。ドイツでは政党を色で呼び、黒がキリスト教民主同盟、赤が社会民主党である。メルツ政権はこの2党で成り立っている。
有権者は政策の転換を求めているのに、連邦政府は「これまで通り」を続けている、と彼女は対比した。
産業について🏭
ヴァイデルは製造業で毎月およそ1万2,000人の雇用が失われていると指摘した。
例として挙げたのは、BASFの本社があるルートヴィヒスハーフェンの工場群である。ここはドイツの工業力の象徴とされてきた。
会社の発表によれば、この工場群のフルタイム換算の従業員数は、2026年5月に1954年以来はじめて3万人を下回った。72年ぶりの低水準である。いまも毎月300から350人が去っている。
ヴァイデルはこう言った。ドイツの自動車産業は死んでいる。中小企業は静かに死んでいる。
このとき社会民主党の議席から笑い声が出たように見えた。ヴァイデルは演説を止めてこう言った。
「それを面白いと思いますか。有権者は、この国で脱工業化が進んでいるのを社会民主党が面白がっているのを見ています。かつての労働者政党の有権者は、今や我々の有権者です。」
エネルギーについて
ヴァイデルはエネルギー転換をこう呼んだ。失われ、燃やされた金だ。何も生み出さない。高価で機能しないものに資金を投じ、実証済みの安価なインフラを破壊している。
家庭が払う額は上がったままである。ドイツエネルギー・水道事業連合会の集計では、2021年を100としたとき、2026年初めの家庭向けガスは177だった。2021年より約77%高い。2023年には212、つまり2倍を超えていた。
🇩🇪ドイツの風力発電は北部に集中し、電力を大量に使う工場は南部にある。送電網が追いついていないため、北部の風力発電を止めさせ、南部の火力発電を増やす操作が日常的に行われている。
止めた事業者にも増やした事業者にも補償が払われ、連邦ネットワーク庁の発表ではその費用は2025年に約30億6,000万ユーロだった。同じ年に捨てられた電力の6割は、再生可能エネルギーである。
送電網にかかる費用は年間約370億ユーロで、家庭の電気代の約30%を占める。発電する設備を増やし、送る設備が足りず、止めた分に補償を払う。その費用を家庭と企業が払っている。
ヴァイデルが要求として挙げたのは、エネルギー転換の終了、原発の再稼働、CO2税の廃止、ガソリンと軽油の税の大幅な引き下げ、そしてロシアからの安価なガス供給の再開である。
与党キリスト教民主同盟の経済大臣に向けて、ガスの備蓄が不足しており冬に供給危機が来ると警告した。
🇺🇦ウクライナについて
「🇺🇸アメリカがウクライナでの殺人的な戦争を終わらせようとしているのに、あなた方🇩🇪政府は戦争プロパガンダと🇷🇺ロシアとの対立を激化させている。」
この討論の議題だった2027年度予算案に、ウクライナ支援として約116億ユーロが計上されている。防衛費は基幹予算だけで約1,097億ユーロで、前年より3分の1多い。
ドイツの憲法には、新規の借入に上限を設ける債務ブレーキという条項がある。
ただし防衛と安全に関する支出は、国内総生産の1%を超える部分がこの計算から外される。2027年にこの枠外で借りる額は854億ユーロ。2030年には1,518億ユーロになる計画である。政府はこの増加を、防衛費の立ち上げによるものだと説明している。
エネルギーを大量に使う産業から5万3,300人が職を失った国が、借入の上限を防衛費🪖のために外し、支援を続けている。その戦争の相手である🇷🇺ロシアのガスを運んでいたパイプラインの爆破について、ドイツ検察は🇺🇦ウクライナの国家機関の命令だと起訴している。
ヴァイデルが求めたのは、和平交渉と、🇷🇺ロシアからのガス供給の再開である。
次の選挙で政権を取る、と宣言した
演説の最後に、ヴァイデルはメルツに向かってこう言った。
「メルツ。ザクセン=アンハルトで有権者はキリスト教民主同盟を粉砕した。メクレンブルク=フォアポンメルンではすでに小政党で、連邦でもその途上にある。当然だ。あなたはメッセージを理解していない。」
そして、こう続けた。
「市民は政策の転換を望み、それを手にする。次の選挙で、人々はAfDに明確な政権の委任を与える。ドイツ人は、良く統治されるに値するからだ。」
次の連邦議会選挙で絶対多数を目指す、とも述べている。
演説の途中、彼女はキリスト教民主同盟議員の質問の申し出を2度断った。あなたからは受けません、と。
演説後、AfDの議席は総立ちで拍手した。他の会派からの拍手は、ほとんどなかった。
🇩🇪首相は「あなたは破壊的な力だ」と応じた⚔️
ヴァイデルの直後に登壇したメルツは、正面から反論した。
「ヴァイデル、あなたは破壊的な力であり、これからもそうだ。」
ザクセン=アンハルトでAfDは過半数を逃した。56%の有権者はあなたを選んでいない、と指摘した。
同じ数え方をすれば、メルツのキリスト教民主同盟は82.8%の有権者に選ばれていない🤭
州で単独過半数の政権を作ると公約しておきながら連立を探れと指示したのは、選挙詐欺に近いとも批判した。
そして再移住について、職業、肌の色、出自による民族浄化の同義語だと述べた。同時に、滞在の権利を持たない者の送還はもっと進めるべきだとも述べている。
AfDに向けられた認知戦の構図🇩🇪
AfDが掲げているのは、政策の主張である。難民としての申請が認められなかったのに滞在している者を退去させる。エネルギー転換をやめて原発を再稼働する。年260億ユーロの開発援助を見直す。EUへの拠出を見直す。ロシアとの経済関係を戻す。
どれも、賛成と反対がありうる主張である。有権者が判断できる主張でもある。
ドイツ政府はこれらの主張に答える前に、この党を「右翼過激主義」と分類した。
分類が付くと、議論の対象が変わる。政策が正しいかどうかではなく、その政策を掲げている者が何者かが問題になる。過激派が言っていることだから検討に値しない、で終わる。政府は、どの政策についても答えなくてよくなる。
公共放送はこの党の名前を出すたびに、「確実な右翼過激と分類されている」という一句を添える。有権者は政策を聞く前に、この「右翼過激」分類を聞く。
政策の中身を議論させず、その政策を掲げる者の資格を先に奪う。これが認知戦である。有権者が何を考えるかを、考え始める前に決める。
🇺🇸アメリカからの警告
ドイツの同盟国🇺🇸の副大統領が、この構図を公の場で指摘した。
2025年2月14日、ミュンヘン安全保障会議。ヨーロッパの安全保障を論じるために各国の政府高官が集まる場で、アメリカの副大統領JD・ヴァンスが約19分の演説を行った。
会場が予想していたのは、ウクライナとNATOの防衛についての話である。彼が話したのは別のことだった。
「我々のすべての国の市民は、自分たちを教育された動物だとも、世界経済の交換可能な歯車だとも考えていない。
彼らが指導者に配置転換され続けたり、執拗に無視され続けたりすることを望まないのは、驚くことではない。こうした大きな問いを投票箱で裁定するのが、民主主義の仕事である。」
その1年7か月後、ザクセン=アンハルトの有権者が出した答えは、投票率77.8%とAfDへの43.8%だった。
2026年10月14日、ハンブルクの裁判所でノルドストリーム爆破の公判が始まる。ドイツの工場を止めた爆破を、ドイツの検察がウクライナの国家機関の命令だと主張する裁判である。
🇩🇪ドイツ政府が国民に対して行ってきたのは、自国の市民が何を書き、何を読み、何を信じるかへの介入である。
SNS投稿を消させ、投稿者の情報を受け取り、家に警察👮を送った。敵を指定し、その敵への敵意を🇩🇪国民に売った。そして選挙で第2党になった政党に、過激主義というレッテルを貼って弾圧した。
対象は最初から国内にいた。認知戦の対象は🇩🇪国民だった。
次回、認知戦の概念の発祥地🇫🇷フランスを見る。
参考文献
Generalstaatsanwaltschaft Berlin(2025/06/25)Joint Press Release: Twelfth Nationwide Day of Action against Hate Postings
ベルリン検事長室の公式発表。朝6時55分の執行、市内7つの地区での9件の家宅捜索、26歳から70歳までの男性8人と女性1人、対象となったプラットフォーム、押収されたインターネット接続端末、そして市民に勧める4つの通報経路を記した一次資料。
https://www.berlin.de/generalstaatsanwaltschaft/presse/pressemitteilungen/2025/pressemitteilung.1573625.php
Brussels Signal(2026/03/06)German Police Conduct 13th Day of Action against Online “Hate”
2026年2月25日の第13回行動日を伝える報道。過去の回の実施状況、立件件数が2021年の2,411件から2024年の10,732件へ増えた推移、約3分の2が右翼に分類された内訳、年金生活者シュテファン・ニーホフの事案と死去、連邦刑事庁による通報の呼びかけ、デジタルサービス法経由の国外への削除効果を扱う。

Landeskriminalamt Sachsen-Anhalt(2026/04)Review of Social Media Comments on Politicians’ Accounts
2026年4月14日と16日に州刑事局が政治家の投稿249件とコメント2万7,000件を点検した事実を裏付ける発表。州議会選挙に関連する違法な書き込みへの対応という説明を含む。
https://polizei.sachsen-anhalt.de/presse
U.S. Department of State(2025/08)2024 Country Reports on Human Rights Practices: Germany
アメリカ国務省の年次人権報告書。ドイツの人権状況が悪化したという評価、重大な問題としての表現の自由への制限、SNS事業者に削除を義務づける制度への言及を含む一次資料。
https://www.state.gov/reports/2024-country-reports-on-human-rights-practices/germany
Gesetze im Internet(Bundesministerium der Justiz)Netzwerkdurchsetzungsgesetz
ネットワーク執行法の条文。24時間以内の削除義務、原則7日以内の判断、最大5,000万ユーロの制裁金、そして2022年2月1日施行の改正による連邦刑事庁への報告義務を定めた一次資料。
Bundesnetzagentur(2024/10/01)Bundesnetzagentur Certifies First Trusted Flagger for Online Platforms in Germany
連邦ネットワーク庁の公式発表。REspectがドイツで最初の「信頼できる通報者」に認定された経緯、事業者が通報を優先的に処理し遅滞なく削除などの措置を取る法的義務、運営主体がバーデン=ヴュルテンベルク州の青少年財団である事実、そして手引きが違法な内容の例として挙げた項目を記す。
Bundesnetzagentur(2025/06/02)Digital Services Coordinator Certifies Further Trusted Flaggers
2025年6月2日にHateAidを含む3団体が追加認定された事実を裏付ける公式発表。
https://www.bundesnetzagentur.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/DE/2025/20250602_TrustedFlagger.html
Bayerischer Landtag(2024)Written Question 19/4068 on the REspect! Reporting Centre
バイエルン州政府の公式回答。REspectへの2024年の助成が合計29万2,000ユーロで、連邦の「デモクラシーを生きる」事業から14万899ユーロ、バイエルン州から12万ユーロ、バーデン=ヴュルテンベルク州から3万1,101ユーロが出た内訳を示す。
HateAid, Transparency Report
HateAid自身が公表する透明性報告書。2018年設立の非営利有限会社という組織形態、2025年6月時点の職員54人、2024年の収入構成が民間助成52.4%、公的助成22.1%、寄付21.8%という内訳、そして公的資金の出所が連邦司法省と連邦家族省である点を示す。

The White House(2022/02/07)Remarks by President Biden and Chancellor Scholz of Germany in Joint Press Conference
共同記者会見の公式記録。ノルドストリーム2について記者から質問を受けたバイデンの回答と、隣に立つショルツが応答しなかった経過を確認できる一次資料。

Deutscher Bundestag(2022/02/27)Government Statement by Chancellor Olaf Scholz
「時代の転換」演説の公式記録。ロシアを安全保障上の脅威と位置づけた発言、連邦軍の主任務の転換、1,000億ユーロの特別基金、防衛費の国内総生産比2%への引き上げを含む。

Konrad-Adenauer-Stiftung, Zeitenwende in den Köpfen
2022年2月の首相演説のあと、ロシアを脅威と見るドイツ人の割合が2021年比で約31ポイント増えたという調査結果を扱う分析。

Statistisches Bundesamt(2026/05/15)Production in Energy-Intensive Industries Down 15.2% from February 2022 to March 2026
ドイツ連邦統計局の公式発表。エネルギーを大量に使う産業の生産が2022年2月から2026年3月までに15.2%減、産業全体は9.5%減、就業者は84万7,700人から79万4,400人へ5万3,300人減という数字を示す。業種別ではガラス・陶磁器・石材25.0%減、コンクリート製品29.3%減、紙18.5%減、化学18.1%減、金属12.9%減。計算の起点をロシアの侵略戦争開始月と制裁に置く。

Der Generalbundesanwalt(2026/07/02)Indictment Filed Regarding the Nord Stream Gas Pipelines Explosions
ドイツ連邦検察庁の公式発表。被告が2022年当時ウクライナ軍の将校だった経歴、ウクライナの国家機関の命令により計画が立てられたという起訴の核心、偽造パスポートでのポーランド経由の入国、ロストックで借りたヨット、時限式起爆装置の設置、罪状が民用物への攻撃という戦争犯罪である点、そして爆破前にノルドストリーム1がドイツの年間発電用ガス需要の約半分を運んでいた事実を記す。
t-online(2026/09/03)Ukrainian to Stand Trial from October over Nord Stream Attacks
ハンブルクのハンザ高等裁判所が公判の開始を決定した経過を伝える報道。初公判が2026年10月14日である点と、被告が容疑を否認している点を扱う。

Bundesministerium des Innern und für Heimat(2022/05)FAQ: Desinformation im Kontext des russischen Angriffskrieges gegen die Ukraine
内務省が作成し、州と自治体、市民団体、連邦議会に配布した文書。偽情報として列挙された主張の一覧、コロナ対策への抗議運動を名指しした記述、そして市民への行動指針を含む一次資料。

Deutscher Bundestag, Drucksache 20/5250(2023/01/17)Answer of the Federal Government on Strategic Communication and the Handling of Disinformation in the Ukraine War
政府が議会の質問に答えた公式文書。内務省が調整する10項目の計画、SNS事業者との接触の記録、リンク先として挙げたファクトチェック団体、そしてこの活動への支出額約1,110万400ユーロを記す。
https://dserver.bundestag.de/btd/20/052/2005250.pdf
Verwaltungsgericht Köln(2026/02/26)Domestic Intelligence Service Provisionally Barred from Classifying the AfD as a Confirmed Extremist Endeavour
ケルン行政裁判所の公式発表。連邦憲法擁護庁が公開情報のみに依拠し諜報手段で得た情報を裁判に提出しなかった経過、提出されていない材料をAfDに不利に推定できないとした判断、そして「再移住」の意味は不明確で具体的な政治目標は導けないとした判断を示す。
Verwaltungsgericht Köln(2026/02/26)Decision 13 L 1109/25
決定の全文。連邦憲法擁護庁が「再移住」を民族的・血統的な国民概念の帰結と解釈した論理と、裁判所がそれを退けた理由を確認できる一次資料。
https://nrwe.justiz.nrw.de/ovgs/vg_koeln/j2026/13_L_1109_25_Beschluss_20260226.html
Landesamt für Verfassungsschutz Sachsen(2026/01)Discontinuation of the Phenomenon Area “Delegitimisation of the State”
ザクセン州の憲法擁護庁による公式発表。2021年4月に新設された監視区分を独立区分として廃止した決定と、理由として挙げた対象人数の減少を記す。
beck-aktuell(2025/06/24)Federal Administrative Court Overturns the Ban on Compact Magazine
連邦行政裁判所判決(6 A 4.24)を伝える法律専門メディアの報道。内務省による2024年7月の禁止処分の根拠が結社法だった点、発行部数4万部、そして裁判長の「基本法は憲法の敵にすら意見と報道の自由を保障する」という言葉を扱う。

Brussels Signal(2026/09/11)AfD Lodges Defamation Complaint against Merz over “Ethnic Cleansing” Accusations
2026年9月9日のメルツの発言と、9月11日のAfDによる名誉毀損の刑事告訴を伝える報道。基本法46条の免責が侮辱には及ばない法的構成、複数の歴史家による見解、そしてザクセン=アンハルト州支部が2023年から州の憲法擁護庁に指定されている事実を扱う。

Reuters(2026/09/09)Germany’s Merz Accuses Far-Right AfD of Calling for Ethnic Cleansing
メルツの発言と、AfD連邦議会会派の院内総務による「再移住」の定義を並べて伝える報道。
AfD Sachsen-Anhalt, Landtagswahl 2026
州支部の選挙公式ページ。約258ページの政策集、100日計画、短縮版の所在を示す。
https://afd-lsa.de/landtagswahl/
AfD Sachsen-Anhalt(2026/07)Regierungsprogramm 2026
州支部が2026年4月の党大会で採択した政策集の本体。退去と再移住の二本柱、標語「最初の1分から退去」、退去用収容枠を約30から300以上へ増やす計画、州予算1億ユーロ規模の退去計画、再移住担当部署の設置、現物給付、庇護関連事業への州資金の打ち切り、「庇護産業」という表現、対ロシア制裁の解除要求、ロシア語教育の拡充と生徒交流の再開を含む一次資料。
MDR, Comparison of Party Platforms on Immigration and Asylum in the 2026 Saxony-Anhalt Election
AfD州支部の政策集の該当ページを明示した政党比較。本文で挙げた具体項目を照合できる。
https://www.mdr.de/nachrichten/sachsen-anhalt/landtagswahl/vergleich-parteien-106,wahlprogramm-zuwanderung-asylpolitik-100.html
GEW Sachsen-Anhalt, Legal Feasibility Analysis of the AfD Government Programme
州の政策集の実現可能性を法的に検討した分析。移民関連56項目のうち21項目が連邦またはEUのレベルでしか実現できない点と、州議会の権限の範囲を扱う。
https://www.gew-sachsenanhalt.net/aktuelles/detailseite/rechtliche-umsetzbarkeitsanalyse-des-afd-regierungsprogramms
Wikipedia(確認日2026/09/12)Landtagswahl in Sachsen-Anhalt 2026
2026年9月6日の州議会選挙の暫定公式結果を集約した項目。AfD 43.8%と39議席、選挙区41のうち38、キリスト教民主同盟17.2%で19.9ポイント減、投票率約77.8%という数字は統計州庁による。
https://de.wikipedia.org/wiki/Landtagswahl_in_Sachsen-Anhalt_2026
MDR(2026/09/09)”Schwarz-Rot ist vorbei”: Weidel and Merz Clash after the AfD Election Victory
2026年9月9日の連邦議会一般討論を伝える公共放送の報道。ヴァイデルの冒頭発言、産業とエネルギーについての発言、社会民主党の議席への反応、締めの部分、そしてメルツの反論を採録する。
https://www.mdr.de/nachrichten/deutschland/politik/merz-weidel-zitate-streit-landtagswahl-afd-sieg-,bundestag-generaldebatte-136.html
Mannheimer Morgen(2026/07/29)BASF: Fewer than 30,000 Full-Time Positions in Ludwigshafen for the First Time since 1954
BASFの半期決算発表を伝える報道。ルートヴィヒスハーフェン本社工場のフルタイム換算従業員数が2026年5月に1954年以来はじめて3万人を下回った事実と、毎月300から350人が去っている状況を扱う。
https://www.mannheimer-morgen.de/wirtschaft/firmen_artikel,-basf-basf-erstmals-seit-1954-weniger-als-30000-vollzeitstellen-in-ludwigshafen-_arid,2390442.html
BDEW(2026/06/22)Energiewirtschaftliche Entwicklungen, Quartalsbericht I/2026
ドイツエネルギー・水道事業連合会の四半期報告。2021年を100としたガス価格指数で、2026年の家庭向けが176.8、産業向けが154.8。出所は連邦統計局の生産者物価指数。同連合会の系列では2023年の家庭向けが212。
https://www.bdew.de/media/documents/BDEW_Energiewirtschaftliche_Entwicklung_2026_Q1_final.pdf
Bundesnetzagentur(2026/05/27)Current Considerations on Reforming the Electricity Network Charge System
連邦ネットワーク庁による送電料金制度の検討資料。送電網にかかる費用が年間約370億ユーロで家庭の電気代の約30%を占める点と、送電混雑管理の費用が2025年に約30億6,000万ユーロだった点を示す。
https://www.bundesnetzagentur.de/1107474
Strom KnowHow(2026/05/11)Redispatch 2025
連邦ネットワーク庁が公表した2025年の出力抑制データの分析。抑制された電力量と、そのうち60%が再生可能エネルギーだった内訳を扱う。
https://stromknowhow.de/2026/05/11/redispatch-2025/
Deutscher Bundestag(2026/09/08)Finance Minister Klingbeil Presents the 2027 Budget Draft
2027年度予算案の審議に関する公式記録。債務ブレーキの枠外での借入が2027年に854億ユーロ、2030年に1,518億ユーロへ増える計画、増加の主因が防衛費の立ち上げであるという政府の説明、そして財務大臣の発言を含む。
https://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2026/kw37-de-einbringung-1194744
ZDFheute(2026/07/06)Budget 2027: More Debt and Higher Spending
2027年度予算案を解説する公共放送の報道。防衛費が基幹予算で約1,097億ユーロと前年より3分の1多い点、ウクライナ支援に約116億ユーロが計上された点、防衛と安全への支出が国内総生産の1%を超える部分は債務ブレーキの計算から外れる仕組みを扱う。
https://www.zdfheute.de/politik/deutschland/haushalt-finanzplan-regierungsentwurf-kabinett-100.html
The White House(2025/02/14)Vice President JD Vance Delivers Remarks at the Munich Security Conference
ヴァンス演説の全文を掲載した記事。本文で引用した「教育された動物」「交換可能な歯車」を含むダボス批判の該当箇所を確認できる。
https://www.youtube.com/watch?v=pCOsgfINdKg



