トランプが「気候変動は詐欺だ」と叫んだら、
ビル・ゲイツが「CO2削減ばかりでは間違いだった」と認め始めた。
あの「キル・ゲイツ」が、である。
トランプとゲイツが認めた「最大の詐欺」
2025年9月、ニューヨークの国連本部で開催された第80回国連総会一般討論演説。
ドナルド・トランプ米大統領は、気候変動問題を「世界に仕掛けられた史上最大の詐欺」と断言した。地球温暖化の予測はすべて誤りであり、カーボンフットプリントという概念自体が「悪意ある者たちの作り上げた欺瞞」だと切り捨てた。風力発電をはじめとする再生可能エネルギー政策を「グリーンエネルギー詐欺」と名指しで批判し、パリ協定からの再離脱をも示唆した。
意外な追随者が現れたのは、その翌月のことだ。ビル・ゲイツである。2025年10月、自身のブログ「Gates Notes」において、ゲイツは気候コミュニティに蔓延する「終末論的な見通し」を問題視した。近視眼的な排出削減目標への偏重が、人間福祉の改善から資源を逸らしていると批判し、「温度上昇の抑制以上に、人間の福祉を気候戦略の中心に置くべきだ」と主張した。長年にわたるCO2偏重路線を、事実上自ら否定した形だ。
今更何を言っているのか、という感想しか持たない人は多いはずだ。
一方、気候変動対策の象徴として長年語られてきた「牛のゲップ論」を覚えている人はいるだろうか?
グリーンピースなどは、家畜由来の温室効果ガスが世界全体の排出量の約14%を占め、特に牛のゲップに含まれるメタンは二酸化炭素の約80倍の温暖化効果を持つと主張し、2050年までに肉・乳製品の消費を50%削減すべきだと提唱している。
牛がゲップを我慢する世界を、誰が本気で思い描けるだろうか。
こうした主張は科学の衣をまとってはいるが、その実態は特定の利益集団が設計した経済的フィクションに過ぎなかった。
金融街が仕掛けた環境「規制」ビジネス
気候変動詐欺の核心は、規制を通じて巨額の資金を動かすビジネスモデルにある。その起点は1997年の京都議定書だ。当時、アル・ゴア米国副大統領はCOP3の演説で気候変動を「静かなる危機」と位置づけ、排出権取引などの市場メカニズムを強力に推進した。これが後の排出権取引市場の原型となった。
この枠組みに深く関与したのが英国だ。マンチェスター大学の研究が明らかにしたように、グリーンファイナンスは「事実上の英国産業政策」として機能していた。シティ・オブ・ロンドン、銀行、財務省の三位一体で運営され、脱炭素を掲げる金融政策の真の目的は地球環境の保護ではなく、ロンドン・シティによる国際金融支配の維持にあった。
その象徴が、元イングランド銀行総裁マーク・カーニーが主導したGFANZだ。正式名称をグラスゴー・ネットゼロ金融同盟という。世界の金融資産の約40%にあたる130兆ドルを管理する銀行や投資家を束ね、脱炭素投資を事実上義務化する強力な枠組みとして機能した。
2020年、新型コロナ禍の最中、当時のチャールズ皇太子はパンデミックを「世界経済をリセットする好機」と位置づけ、クラウス・シュワブとともにWEFで「グレート・リセット」を喧伝した。ESGを重視する新たな資本主義への移行が声高に謳われ、世界は一斉にEV一色へと染まっていった。
石油を悪者に仕立て、バッテリーと希少金属に資本が群がる。規制と補助金で市場をねじ曲げた結果が、現在のエネルギー価格高騰と産業の空洞化だ。「急に世界が変わった」ように見えたあの光景は、綿密に設計された演出に過ぎなかった。
アメリカの環境規制政策はビジネスの道具だった
米国における気候変動政策の歴史は、科学よりも政治的都合と規制拡大の欲望が色濃く反映されたものだ。その矛盾は1970年にまで遡る。
深刻な大気汚染問題に対処するため制定された大気浄化法において、議会は「大気汚染物質」の定義を意図的に広範で曖昧なものにした。将来予期せぬ汚染物質が出現した場合にも対応できるようにするための妥協点だった。当時の議員たちが想定していたのは、目に見えるスモッグや有害物質の削減であり、地球温暖化やCO2ではなかった。
この「曖昧な妥協点」が、数十年後に強力な政治的武器へと変貌する。オバマ政権下、EPAはこの1970年法の条項を根拠に、CO2を「公衆衛生と福祉を脅かす物質」と認定した。2009年のことだ。これにより、自動車の燃費基準、発電所の排出規制、産業全体への厳しいCO2制限が一気に可能になった。
問題の本質はここにある。元々は大気汚染を対象とした法律を、スケールの異なるグローバルな気候変動問題に無理やり適用したのだ。議会が直接CO2規制を承認したわけではない。行政機関が広範な解釈で権限を拡大し、経済への影響を十分に考慮しないまま、製造業とエネルギー産業に重い負担を課す規制を次々と生み出した。
トランプ政権は、この矛盾を正面から突いた。2026年2月、トランプ大統領とEPA長官リー・ゼルディンは、2009年の「温室効果ガス危険性認定」を正式に撤回した。トランプはこれを「グリーン・ニュー・スキャム」と呼び、「アメリカ史上最大級の規制拡大の失敗」と断じた。この撤回により、オバマ・バイデン時代に積み重ねられた多くの排出規制が法的根拠を失った。
アル・ゴアという究極の偽善
気候変動政策の象徴であり、最大の偽善者として長年活動してきた人物がいる。アル・ゴアだ。
1997年、京都議定書採択に向けたCOP3において、当時の米国副大統領アル・ゴアは熱弁を振るった。気候変動を「人類への静かなる危機」と呼び、次世代への責任を強く訴えた。排出権取引などの市場メカニズムを推進し、米国が国際的な合意形成をリードする姿勢をアピールした。演説は崇高で、環境保護と経済成長の両立を約束するものだった。
しかし、現実のゴアの生活はその演説と正反対だった。複数の豪邸を所有し、特にテネシー州ナッシュビルの自宅は平均的なアメリカ家庭の12倍以上の電力を消費するエネルギー食いの大邸宅として知られた。照明、空調、プール、ゲストハウス、すべてが贅沢に稼働し続けた。
移動手段も問題視された。気候変動対策を世界中に説いて回りながら、プライベートジェットや高排出の移動手段を多用したと繰り返し報じられた。本人は「商業便を使い、カーボンオフセットで相殺している」と弁明したが、プライベートジェットから降りる姿が何度も捉えられ、説得力は薄かった。「オフセット」という方便で罪悪感を免罪する—これこそがエリート層の常套手段だ。
映画「不都合な真実」で世界的な注目を集めながら、私生活ではその「真実」とはかけ離れた消費を続けた。CO2削減を叫びながら、自分だけが膨大なCO2を排出する。その姿は、気候変動ビジネスの矛盾を凝縮した縮図だった。
これは単なる個人の問題ではない。ゴアのような政治家や著名人が「環境のために我慢せよ」と説教しながら、自分たちは規制の枠外で生きるという構造が、国民の不信感を増幅させた。
トランプ支持層が「気候変動はエリートの詐欺だ」と感じる背景には、こうした上流階級の二重基準が長年積み重なってきた事実がある。
京都演説から四半世紀以上が経った今も、ゴアの偽善は語り草だ。崇高な言葉と現実の生活の落差は、気候変動が「道徳的優位性」を装った政治的・経済的ツールに過ぎなかったことを、雄弁に物語っている。
中国を放置したまま、詐欺は終わる
最大の矛盾は、中国だ。
世界最大のCO2排出国であるGDP第2位の中国を本気で規制できないまま、先進国だけに削減を強いる構造が30年近く続いた。中国の排出量は2025年も突出したままである。
そんな中、ブラックロックをはじめとする大手運用会社は、2025年に環境・社会関連の株主提案への支持率を2021年の40%超から2%未満へと急落させた。経済的価値に結びつかない提案は、次々と切り捨てられ始めている。
グリーンファイナンスは環境保護ではなかった。金融街による国際支配を維持するための規制ビジネスであり、グレート・リセットという名の管理型経済への道筋だった。その果実として残ったのは、エネルギー価格の高騰、産業の衰退、そして先進国市民の生活苦だけだ。
気候変動という名の世紀の詐欺は、今まさに終わろうとしている。問題は、誰もその責任を取らないことだ。
太陽光パネルやEVを購入した人は、その理由を正直に思い出してほしい。
地球への愛か、それとも補助金という名のお得感か。おそらくその両方だろう。 補助金の原資は、隣人の税金だ。
善意と打算が混ざり合ったその選択を、最も喜んだのは地球ではなく、規制と補助金で市場を設計した側だった。
次に「補助金付きの正義」が登場したとき、その裏にある利権の行方を少し想像してみてほしい。
参考文献
The Guardian (2020-06-03) Prince Charles says pandemic is chance to reset global economy
パンデミックという非常事態を「経済再設計の好機」と捉えた発言が、チャールズ皇太子自身の口から出ている。グレート・リセット構想が陰謀論ではなく、当事者たちが公言していたアジェンダだったことを示す一次資料。

World Economic Forum (2020-06-03) Klaus Schwab and Prince Charles on why we need a Great Reset
WEF公式ポッドキャスト。シュワブとチャールズ皇太子が自らの言葉でESG資本主義への移行を語っている。「誰かが勝手に決めた」のではなく、設計者たちが堂々と公開していた構想であることを確認できる。
ScienceDirect / University of Manchester (2024-03-15) Green finance as UK industrial policy
グリーンファイナンスを「英国産業政策」と明示した学術論文。環境保護という名目の裏側に、シティ・オブ・ロンドンを中心とした金融覇権維持の論理が走っていることを、学術的に裏付けている。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0016718524000812?via%3Dihub
InfluenceWatch (2024-03-20) Glasgow Financial Alliance for Net Zero (GFANZ)
130兆ドル、世界金融資産の約40%を束ねたGFANZの実態を解説した記事。「自発的な脱炭素の連帯」という建前の下で、いかに強制力を持つ枠組みが構築されたかを把握するための基礎資料

Politico (2014/06/01) The Obscure 1970 Compromise That Made Obama’s Climate Rules Possible
1970年大気浄化法の「曖昧な妥協点」が、40年後にオバマ政権のCO2規制を可能にした経緯を追った記事。環境規制が科学的必要性よりも、法律の抜け穴と行政解釈の拡大によって形成されてきた実態を理解する上で欠かせない。
BBC News (2026/02/12) Trump administration scrap US greenhouse gas endangerment finding
2009年のEPA「温室効果ガス危険性認定」撤回を報じたBBCの記事。オバマ時代に積み上げられた排出規制の法的根拠が、一つの行政決定で崩壊した事実を記録している。規制の脆さと政治依存性を端的に示す。

U.S. Department of State Archive (1997年12月8日) Remarks by Vice President Al Gore, COP-3, December 8, 1997, Kyoto, Japan
ゴアがCOP3で行った演説の公式記録。後の私生活との落差を考えながら読むと、この演説の崇高さが別の意味を帯びてくる。言葉と行動の距離を測るための原典。
https://1997-2001.state.gov/global/oes/971208_gore_cop.html
UN News (2025/09/23) Trump at UN General Assembly: Climate change is ‘the greatest scam’
第80回国連総会でトランプ大統領が気候変動を「世界に仕掛けられた史上最大の詐欺」と断言した演説を報じた記事。地球温暖化予測の誤りとグリーンエネルギー政策を批判し、パリ協定再離脱を示唆。「気候変動詐欺」の核心。

Gates Notes (2025年10月28日) Three Tough Truths About Climate
ゲイツが気候戦略の転換を自ら提言した記事。CO2削減偏重への反省を、長年その推進側にいた人物が公言 https://www.gatesnotes.com/three-tough-truths-about-climate
グリーンピース・ジャパン (2021/07/05) お肉を半分に減らすべき理由。気候変動と、お肉・乳製品の関係
家畜由来の温室効果ガスが世界全体の約14%を占め、特に牛のげっぷのメタンが二酸化炭素の約80倍と主張した記事。2050年までに肉・乳製品消費を50%削減すべきと提唱。エッセイ第1章で「牛のゲップ論」のバカバカしさを皮肉り、気候対策の非現実性を象徴的に紹介した。

ESG Dive (2025年8月) BlackRock’s support for environmental, social shareholder proposals falls to less than 2% in 2025
ブラックロックが2025年の環境・社会関連株主提案への支持率を40%超から2%未満へ急落させたことを分析した記事。経済的価値のない提案を切り捨てる実利重視の姿勢が明確になった。エッセイの結びで、金融システムの「環境対応投資」ブームが詐欺的で無駄だったことを示す象徴的事例。



