🇺🇸アメリカの中間選挙に向けて、認知戦🧠が激しく展開されている。
民主党陣営は、今回も古典的なカラー革命🌈のプレイブックを繰り返そうとしているように見え、やり方も結構えげつない。
そんなアメリカの言論空間について、今何が起きているのか、その背景含めて2回に分けて、じっくりと論考してみたい。
カラー革命の定番、二つのレッテル
カラー革命とは、選挙や抗議運動をきっかけに、外から支援を受けた勢力が政権を倒す手口のことで、旧ユーゴスラビアや🇺🇦ウクライナ、「アラブの春」の国々で繰り返されてきた。その際、標的の政権には決まって二つのレッテルが貼られる。一つは「独裁者」で、もう一つは「汚職政治家」だ。
いまアメリカでは、この二つのレッテルが同時に、トランプ🇺🇸と支持運動のMAGAに貼られている。
一つ目の「独裁者」のレッテルには、リベラルな学者がお墨付きを与えている。ハーバード大学のレヴィツキーと🇨🇦トロント大学のウェイは10月、民主主義を研究する専門誌に論文を寄せ、🇺🇸アメリカはもう選挙のある独裁国家になったと書いた。二人が独裁の証拠に挙げたのは、司法省や連邦捜査局による捜査活動で、法の執行そのものを「批判者への弾圧」と呼び替えている。比べた相手は🇭🇺ハンガリーのオルバン政権で、グローバリズムに逆らう指導者が、ここでは独裁の見本として扱われている。
この専門誌は、1990年の創刊から今年5月まで、全米民主主義基金(NED)の中に置かれていた。各国のカラー革命で反政府勢力に資金を流してきたNED🌈の雑誌が、トランプに独裁者のレッテルを貼る。学術論文の顔をしているが、これも民主党陣営の情報戦の一部と見るしかない。
しかし、その「独裁国家🇭🇺」では、4月の総選挙でオルバンの与党が敗れ、16年ぶりに政権が交代した。本物の独裁者なら、選挙で負けて退くことはない。
ただし、この選挙は公正な勝負ではなかった。🇪🇺EUはハンガリーに渡すはずの資金170〜190億ユーロを凍結し、投票日の直前まで経済を締め上げた。欧州のメディアは、匿名の治安機関筋を頼りに、🇷🇺ロシアの情報機関の工作員がオルバンを勝たせるためにブダペスト入りしたと報じたが、逮捕者も証拠も出ていない。
🇺🇸ヴァンス副大統領は投票日の5日前にブダペストを訪れ、EUのやり方を、外国による選挙干渉の最悪の事例の一つだと非難している。
オルバン🇭🇺は、トランプがいま戦っているのと同じ種類の選挙干渉に敗れたことになる。
アメリカに話を戻すと、メディアはさらに踏み込み、トランプ🇺🇸をヒトラーに重ねている。
✒️ワシントン・マンスリー(9月):「スワスティカと赤い帽子」と題した論考を掲載
✒️ザ・ネイション(9月):トランプの国連演説を、デジタル時代に更新されたヒトラーと評した
✒️ザ・フォワード(10月):中間選挙をめぐるトランプの手口を、ヒトラー時代のドイツの威圧に重ねた
二つ目の「汚職政治家」のレッテルは、CNNが10月21日に、中間選挙を前にトランプ周辺に腐敗疑惑が群がっていると報じたように、投票日に合わせて量を増やしている。その効果は数字に出ていて、AP通信とシカゴ大学の調査機関NORCが9月に行った世論調査では、約6割が、トランプは大統領職で不当に利益を得ていると答えた。
ヴァンス副大統領は10月19日、トランプが公職で富を築いたという話は滑稽だと切り捨てた。大統領になって人生が台無しになりかけたのは、むしろトランプの方だという。
🇺🇸投票日を前に、この二つのレッテルが毎日のように、リベラルメディア🌈の画面に重ね貼りされている。
スロットキンの「恫喝のメッセージ」
レッテルを貼るのはメディアだけではない。民主党🌈の議員自身が、🇺🇸トランプ政権に関わる人々への追及を予告し始めている。
10月13日、ミシガン州選出のエリッサ・スロットキン上院議員は、シカゴ大学の催しで学生を前に語った。
「トランプ本人だけでなく、トランプを後押しした人々を、見せしめになる事件で捜査し、裁きたい。」
狙いは、卒業を控えた若者に「トランプ政権で働けば面倒なことになる」と思わせ、政権から遠ざけることにある。本人はこれを「抑止のメッセージ」と呼んだ。
スロットキンの経歴は、情報機関から始まる。国家安全保障会議(NSC)でイラクを担当し、オバマ政権🌈の国防総省では、中東や欧州、ロシアの政策を担う要職に就いた。外交と安全保障の中枢を歩いてきた人物が、政権で働く若者を脅している。
このスロットキンは6月、有権者登録の際に市民権の証明を求めるSAVEアメリカ法について、法案が成立すれば、
「どの州のどの民主党員にとっても、選挙で勝つことは難しいだろう」
と語っている。市民権を確かめられると勝てないと、自ら認めたことになる。
民主党🌈の矛先は、企業にも向いている。元国家安全保障担当の大統領補佐官スーザン・ライスは2月、ポッドキャストで、トランプ🇺🇸に協力した企業に警告した。民主党が政権に戻ったとき、協力したことが許されると期待しても、そうはならないという。
政権で働く若者と、政権に協力した企業。恫喝の矛先は、トランプ本人から、その周りで働く人々へと広がっている。
司法省の反撃
恫喝される側も、黙ってはいない。🇺🇸トランプ政権の司法省は、外国籍の人による違法投票と不正な有権者登録の摘発を進め、その成果を次々と公表している。
👉違法投票などでの起訴:20州で113人
👉 カリフォルニア州:永住者28人を、不正な有権者登録などで起訴
永住者はアメリカの市民ではないため、連邦の選挙で投票する権利を持たない。
10月14日には、司法省の幹部がカリフォルニア州とロサンゼルス郡の選挙担当者に、非市民の可能性が高い人々のリストを渡した。48時間以内に確認し、すでに返送された郵便投票も、市民権が確かめられるまで集計しないよう求めたと、ロイター🇬🇧が報じている。
ところが、市民権を調べるための有権者名簿を、民主党🌈の州を中心に州の側が出さない。共和党が率いる州のうち、少なくとも16州は名簿を渡したか、渡すと表明している。司法省は名簿の提出を求めて30州とワシントンDCを訴えたが、連邦地裁⚖️ は26件続けて州の側についた。
名簿も渡されず、裁判所の後押しも得られないなかで、司法省は不正な登録を一件ずつ掘り起こしている。スロットキン🌈が「勝てなくなる」と語った市民権の確認を、司法省は地道に積み上げているのだ。
ところが、この市民権の調査を「越えてはならない一線」の筆頭に挙げ、越えたら🇺🇸連邦政府を「正当な政府ではない」と宣言する、と読める文書がネットで公開された。作ったのは、🌈オバマ政権やバイデン政権で国防総省や国務省にいた元高官たちのネットワークだという。
選挙の不正を調べる政府を、🌈民主党政権の元高官たちは、どうやって引きずり下ろそうとしているのか?
次回はその暴露文書を軸に、暴力的な革命🔥のプレイブックを紹介する。
最後までお読みいただき、ありがとうございました🙏
参考文献
Journal of Democracy (2026/10) Competitive Authoritarianism in America
レヴィツキーとウェイの論文。トランプ第2期の米国を「選挙のある独裁」の型に入れ、オルバン政権下のハンガリーと同じ型だと判定している。
https://www.journalofdemocracy.org/articles/competitive-authoritarianism-in-america/
Stanford FSI (2026/05/15) New Partnership Brings Journal of Democracy to Stanford’s Center on Democracy, Development and the Rule of Law
ジャーナル・オブ・デモクラシーが2026年5月まで全米民主主義基金(NED)の中に置かれていたことを記した、スタンフォード大学の発表。
https://fsi.stanford.edu/news/new-partnership-brings-journal-democracy-stanfords-center-democracy-development-and-rule-law
Khaleej Times (2026/04/13) Orban Loses Hungary Vote to Pro-Europe Newcomer Magyar After 16 Years in Power
4月12日のハンガリー総選挙でオルバンの与党が敗れ、オルバンが敗北を認めたことを伝えるAFP配信記事。
https://www.khaleejtimes.com/world/europe/orban-loses-magyar-wins-hungary-elections-april-2026-europe
Euronews (2026/03/25) Hungary Left in the Cold as European Commission Keeps Defense Cash Frozen
総選挙を前に、EUがハンガリー向け資金の大半を凍結し続けていたことを伝える記事。
https://www.euronews.com/my-europe/2026/03/25/hungary-left-in-the-cold-as-european-commission-keeps-defense-cash-frozen
VSquare (2026/03/06) Putin’s GRU-Linked Election Fixers Are Already in Budapest to Help Orbán
匿名の欧州治安機関筋を根拠に、ロシア軍情報機関の工作員がオルバンを勝たせるためにブダペスト入りしたと報じた記事。
https://vsquare.org/putins-gru-linked-election-fixers-are-already-in-budapest-to-help-orban/
Newsweek Japan (2026/04/08) Meddling Elsewhere Again? U.S. Vice President Vance Attacks the EU in Hungary’s Parliamentary Election as the Ruling Party Trails
ヴァンス副大統領が4月7日にブダペストで、EUのやり方を外国による選挙干渉の最悪の事例の一つと非難したことを伝えるロイター配信記事。
https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/315220
Washington Monthly (2026/09/01) The Swastika and the Red Hat
トランプとヒトラーの権力掌握を重ねた論考。
https://washingtonmonthly.com/2026/09/01/the-swastika-and-the-red-hat/
The Nation (2026/09/25) Trump Impersonated Hitler at the United Nations
トランプの国連演説を「デジタル時代に更新されたヒトラー」と評した論考。
https://www.thenation.com/article/politics/trump-impersonated-hitler-at-the-united-nations/
The Forward (2026/10/15) Germany Couldn’t Stop Hitler’s Election Tactics; Can America Stop Trump’s?
中間選挙をめぐるトランプの手口を、1933年ドイツの選挙での威圧に重ねた論考。
https://forward.com/opinion/856043/midterm-elections-germany-america-trump-hitler-intimidation/
CNN (2026/10/21) Corruption Allegations Swarm Trump’s Orbit Ahead of Midterms
中間選挙を前に、トランプ周辺に腐敗疑惑が群がっていると報じた記事。
https://www.cnn.com/2026/10/21/politics/trump-corruption-midterms
FOX6 News Milwaukee (2026/10/13) Americans Think Trump Prioritizes His Wealth More Than Helping US, Poll Finds
AP-NORC世論調査(9月24〜28日、成人2,140人)で、約6割がトランプは大統領職で不当に利益を得ていると答えたことを伝える記事。
https://www.fox6now.com/news/americans-think-trump-prioritizes-wealth-poll
Rapid Response 47 (2026/10/19) Vice President Vance on Allegations That the President Is Profiting from Office
ヴァンス副大統領がマーク・ハルペリンの番組で、トランプが公職で富を築いたという話は滑稽だと切り捨て、大統領になって人生が台無しになりかけたのはむしろトランプの方だと語った場面の動画。
https://x.com/RapidResponse47/status/2112320585854493078
The National News Desk (2026/10/19) Sen. Slotkin Says She Wants Prosecutions to Deter Graduates from Working for Trump Admin
スロットキンが10月13日にシカゴ大学で、トランプを後押しした人々への追及と、若者への「抑止のメッセージ」を語ったことを伝える記事。
https://katv.com/news/nation-world/sen-slotkin-says-she-wants-prosecutions-to-deter-graduates-from-working-for-trump-admin-university-of-chicago-democratic-party-opm-jonathan-turley-mike-lee
U.S. House Armed Services Committee (2014/02/11) Defense.gov Biography: Elissa Slotkin
スロットキンが情報機関出身で、国家安全保障会議でイラクを担当し、国防総省で中東・欧州・ロシア政策を担ったことを記した経歴書。
https://docs.house.gov/meetings/AS/AS00/20140211/101730/HHRG-113-AS00-Bio-SlotkinE-20140211.pdf
Fox News (2026/07/14) Elissa Slotkin Says SAVE America Act Would Make It ‘Hard for Any Democrat’ to Win an Election
スロットキンが6月6日、SAVEアメリカ法が成立すればどの州の民主党員も選挙で勝つのが難しくなると語った発言を報じた記事。
https://www.foxnews.com/politics/elissa-slotkin-says-save-america-act-would-make-hard-democrat-win-elections
The Hill (2026/02/20) Susan Rice Predicts ‘Accountability Agenda’ When Democrats Are Back in Power
ライスがポッドキャストで、トランプに協力した企業は民主党が政権に戻れば許されないと警告したことを伝える記事。
https://www.aol.com/news/susan-rice-predicts-accountability-agenda-224652145.html
Associated Press (2026/10/19) Justice Department Charges More Than 2 Dozen in California Sweep Targeting Alleged Noncitizen Voters
司法省がカリフォルニア州で永住者28人を起訴し、20州で113人を起訴したと発表したことを伝える記事。
https://www.ajc.com/news/2026/10/justice-department-charges-more-than-2-dozen-in-california-sweep-targeting-alleged-noncitizen-voters/
Reuters (2026/10/14) Justice Department Threatens California Over Alleged Noncitizen Voters, Letters Show
司法省がカリフォルニア州とロサンゼルス郡に48時間の期限を示し、郵便投票の集計を止めるよう求めたことを伝える記事。
https://gvwire.com/2026/10/14/justice-department-threatens-california-over-alleged-noncitizen-voters-letters-show/
OPB (2026/09/23) Trump Administration’s Washington Voter Roll Lawsuit Dismissed
共和党が率いる少なくとも16州が有権者名簿を渡したか、渡すと表明したことを伝える記事。
https://www.opb.org/article/2026/09/23/trump-administration-washington-voter-roll-lawsuit-dismissed/
Washington Examiner (2026/09/30) Federal Judge Dismisses DOJ Lawsuit Seeking Georgia Voter Rolls
ジョージア州の判決で、司法省の名簿訴訟が26件目の敗訴となったことを伝える記事。
https://www.washingtonexaminer.com/news/justice/4749665/judge-doj-lawsuit-georgia-voter-rolls/
Promethean Action (2026/10/21) The Midweek Update: There Was a Secret Coup Plan but Then Elissa Slotkin Opened Her Big Mouth
データ・リパブリカンが公開した文書と、元高官ネットワークの中間選挙後の計画を取り上げたバーバラ・ボイドの解説。本稿を書くきっかけとなった記事。
https://www.prometheanaction.com/the-midweek-update-there-was-a-secret-coup-plan-but-then-elissa-slotkin-opened-her-big-mouth-october-21-2026/


