戦争を続ける大英帝国の「伝統」

ここまでハッキリと言うようになったのか!?。

「欧州は、いかなる代償を払っても平和を求めようとする米国の動きに対し、ウクライナが抵抗するのを支援している」

これは、大英帝国の司令塔であるシンクタンク「チャタムハウス」が発信したメッセージの一節だ。 

『平和を求めようとする米国の動きに抵抗するウクライナを支援する』。おいおい、これは大英帝国と欧州が「戦争屋」であることを自ら公言している。

今日、このニュースを読んで、ただただ呆れるばかりだ。 欧州は「どんな代償を払っても米国が推す平和」を阻止しようとしている。そのためにウクライナへ軍事支援を注ぎ続け、EUの援助はすでに67%増加。さらに900億ユーロものローンを用意してまで「抵抗」を後押ししているというのだ。 平和を求める動きそのものを「敵」とみなす。これが欧州の司令塔の本音でもあるという事実に…。

アメリカは別世界、ロシアは冷静に怒りを表現

一方で、アメリカ側の認識はまるで別世界だ。 トランプははっきりと言い切った。「プーチンは合意に前向きだが、ゼレンスキーが障害となっている」。さらに別の場では「ゼレンスキーが合意を望まないことに驚いた」とまで公言している。 

つまりアメリカの認識では、自国はすでに本気で停戦を考え、プーチン側もそれに応じる構えを見せているのに、ゼレンスキーがそれを邪魔している、という構図なのだ。 欧州が「どんな代償を払っても米国が推す平和」へのウクライナの抵抗を煽る一方で、アメリカは現実的な和平を望んでいる。この温度差がここまで露骨に表面化するとは、まさに異常事態だ。

ロシア側も当然、このアメリカの発言に呼応するように動きを強めている。

2026年3月10日、ウクライナ側はブリャンスク地域にあるロシアの工場を、英国製長距離ミサイル「ストームシャドウ」で攻撃した映像を堂々と公開した。ロシア領内で英国兵器が炸裂した証拠を、ウクライナが世界に発信したのである。

これを受け、ロシア外務省は即座に公式声明を出し、イギリスを名指しで非難した。「英国はウクライナに直接武器を提供し、攻撃を支援している。これはもはや代理戦争ではなく、イギリス自身が紛争の当事者だ」という、極めて強い表現であった。

補足しておくが、この手の巡航ミサイルの照準は、ウクライナだけではできない。イギリス軍の関与は、ロシアもアメリカも重々承知している。

アメリカが「プーチンは前向きだ」と認めた直後に、英国製ミサイルがロシア領を襲う。これでは、和平の芽など、芽生えた瞬間から摘み取られていると言うしかない。

バカのひとつおぼえ:「停戦潰し」の既視感

今まさに起きているのは、再び芽生えた停戦の機運を、なりふり構わず潰そうとする大英帝国の戦争継続行動の「再演」である。

 3月11日、トルコが次回の和平協議のホスト役を提案した。ゼレンスキーとエルドアン大統領の電話会談により、かつての「イスタンブール形式」に近い三者協議の案が浮上し、ゼレンスキー自身も成果への期待をにじませたとされる。中東情勢の影響で対話が停滞していた経緯を考えれば、これは待望の「和平への道」のはずだった。

しかし、ここで思い出さざるを得ないのが、2022年当時のあの出来事だ。 

イスラエルのナフタリ・ベネット元首相は、後にこう証言している。「私が仲介した時点で、ロシアとウクライナの合意成立の可能性は50%あった。米独仏とも調整済みだったのに、最終的に西側諸国、特にボリス・ジョンソン英首相(当時)らが『ロシアを叩き続ける』という強硬姿勢を優先し、交渉をブロックした」。 ベネットは、西側、とりわけ英国の戦略的判断が和平の機会を失わせたと明確に批判したのだ。

現在起きていることは、このパターンと全く同じである。

2022年:イスタンブールで和平のテーブルが整った瞬間に、ジョンソン首相がキーウへ飛び「戦い続けろ」と合意を潰した。

2026年:再びトルコが協議を提案した瞬間に、英国製ミサイルがロシア領を飛び、「平和を求める動きに抵抗せよ」と欧州を扇動する。

ミサイルによる実力行使まで伴った、この「なりふり構わない戦争継続」の姿勢には、狂気しか感じない。

なぜイギリスは戦争を続けたいのか?

では、なぜイギリスはここまで執拗に戦争を続けようとするのか。 

その答えは、実は100年以上前から一貫している。 1916年、第一次世界大戦の最中に大英帝国とフランスが結んだ秘密協定「サイクス・ピコ協定」がその原点だ。彼らはオスマン帝国の領土を、民族も宗教も無視して定規で引き裂き、中東を人工的に分割した。あえて不安定な国境線と対立の火種を埋め込むことで、石油利権の確保と、永続的な軍事介入の口実を作り出したのである。これこそが、地域を不安定化させることで自らの影響力を維持する「大英帝国の地政学」の正体だ。

この手法は、現代に至るまで驚くほど忠実に繰り返されている。 2003年のイラク戦争では「大量破壊兵器の脅威」を誇張し、平和的解決を阻んだ。後に英国議会自らが「戦争の正当性はなく、平和的手段が尽くされていなかった」と酷評するほどの無理心中だった。 2011年のリビア介入でも、誤った前提に基づく軍事作戦が国家を崩壊させ、武装勢力の台頭を招いた。これも英国下院の報告書によって「戦略的欠如」と断罪されている。 シリアにおいても、反体制勢力へ巨額の資金を投じて体制変更工作を推し進めた。

中東やバルカン半島を不安定化させ、自らの影響力維持と資源管理のための介入を正当化する―。ウクライナで起きていることも、このサイクス・ピコ以来のロジックの延長線上にあるのではないか。

欧州、特にイギリスは、たとえアメリカが和平を望み、ロシアがそれに応じようとしても、ウクライナを「抵抗の道具」として使い続けたい。地域を不安定なままに据え置くことこそが、大英帝国から続く伝統的な国益だからだ。

私たちは今こそ、真剣に考えなければならない。 大英帝国をはじめとする「戦争を続けたい勢力」が本当に求めているのは「平和」なのか。それとも、自らの影響力を保持するための「永続的な不安定」なのか。

参考文献

Chatham House (2026/02/24) Europe is helping Ukraine resist a US push for peace at any price

欧州諸国が、米国によるロシアとの迅速な和平(領土譲渡や選挙を含む)を押し進める外交圧力に対し、ウクライナの抵抗を軍事・財政・産業支援で支えている状況を分析したレポート。EUの軍事援助が2025年に67%増加し、900億ユーロ規模の融資を承認した点や、欧州が米国に代わって主要ドナーとなった経緯を詳述。欧州の「いかなる代償を払っても」ウクライナ支援を続ける姿勢が、米国の和平志向との対立を象徴的に示している。

https://www.chathamhouse.org/2026/02/europe-helping-ukraine-resist-us-push-peace-any-price

NBC News / Yahoo News (2026/03頃) Trump comments on Ukraine ceasefire negotiations

トランプ前大統領(当時)が「プーチン氏は合意に前向きだが、ゼレンスキー氏が障害となっている」「ゼレンスキー氏が合意を望まないことに驚いた」と発言した内容を報じた記事群。プーチン側が停戦に応じる姿勢を示す一方で、ゼレンスキーが交渉を難航させているという米側の認識を明確に伝えている。

NBC News
Trump says Iran is ready to negotiate a ceasefire but he's not ready to make a deal The president said the "terms aren't good enough yet" to make a deal with Iran amid a widening war in the Middle East.

Yahoo News (2026/03/10) Ukraine’s General Staff releases footage of Storm Shadow strike

ウクライナ参謀本部が、英国製ストームシャドウミサイルによるブリャンスク地域(ロシア領内)の微電子工場攻撃映像を公開したことを伝えた報道。攻撃がロシアの精密誘導兵器生産能力を削ぐ目的だったとされ、英国製兵器の直接使用がエスカレーションの象徴として注目された。

Yahoo News
Ukraine's General Staff releases footage of Storm Shadow strike on Bryansk plant in Russia General Staff of the Armed Forces of Ukraine has confirmed that Storm Shadow air-launched missiles struck the Kremniy El microelectronics plant in Bryansk.

NOVAIST (2026/03/11) ウクライナ和平協議にトルコ案浮上 ゼレンスキー氏が開催地合意を示唆

トルコがウクライナ・ロシア・米国の三者和平協議のホスト役を提案し、ゼレンスキー大統領とエルドアン大統領の電話会談で開催地合意の可能性が示唆された記事。2022年のイスタンブール形式を想起させる枠組みが再浮上し、停戦条件の隔たりは残るものの外交努力の継続を報じている。

NOVAIST - ニュースはAIで深化する...
ウクライナ和平協議にトルコ案浮上 ゼレンスキー氏が開催地合意を示唆 - NOVAIST ウクライナ、ロシア、米国による次回の三者和平協議でトルコ開催案が再浮上。ゼレンスキー大統領は3月10日、エルドアン大統領との電話でトルコが受け入れに前向きと報告。...

Bennett Speaks Out (YouTubeインタビュー, 2023/02/04) 

イスラエル元首相ナフタリ・ベネットが、2022年初期のロシア・ウクライナ仲介工作の詳細を明かしたインタビューおよび関連記事。合意可能性を「50%」と回顧し、米独仏と調整済みだったにもかかわらず、特にボリス・ジョンソン英首相(当時)が「ロシアを叩き続ける」姿勢を優先し交渉をブロックしたと批判。西側諸国が外交的解決を阻害したとする主張が、和平機会喪失の象徴として議論を呼んだ。

Encyclopedia Britannica (最終更新2024/02/05) Sykes-Picot Agreement

1916年に大英帝国とフランスが結んだ秘密協定の解説。オスマン帝国領土を民族・宗教的背景を無視して定規で分割し、意図的に不安定な構造を中東に埋め込んだ石油利権・影響力維持の原点。イラク・シリア・パレスチナなどの現代紛争の火種を人工的に生み出した歴史的事実を詳述。
https://www.britannica.com/event/Sykes-Picot-Agreement

BBC News (2016/07/06) Chilcot report: Tony Blair’s Iraq War case not justified

英国議会によるイラク戦争調査(Chilcot報告)のまとめ。トニー・ブレア政権が大量破壊兵器の脅威を誇張し、平和的選択肢を尽くさず参戦したこと、後処理計画の不備を厳しく批判。「戦争の正当性はなく、平和的手段が尽きていなかった」と結論づけた公式報告の核心を伝える。

BBC News
Chilcot report: Tony Blair's Iraq War case not justified The UK's Iraq War inquiry says Tony Blair overstated Saddam Hussein's threat, sent ill-prepared troops into battle and had "wholly inadequate" plans for the aft...

UK Parliament Foreign Affairs Committee (2016/09/14) Libya: Examination of intervention and collapse

英国下院外交委員会の公式報告書。デイビッド・カメロン政権主導の2011年リビアNATO介入が「誤った前提と不十分な情報」に基づき、国家崩壊と武装勢力台頭を招いたと認定。介入後の安定化責任を放棄した戦略的欠如を明確に指摘し、カメロン首相の決定的責任を強調。

https://publications.parliament.uk/pa/cm201617/cmselect/cmfaff/119/119.pdf

Declassified UK (2021/07/20) Revealed: The UK has spent £350-million promoting regime change in Syria

英国がシリアで反アサド勢力支援・体制変更工作に少なくとも3億5000万ポンド(援助予算含む)を投じたことを暴露した調査報道。反体制派のプロジェクトやメディア支援を通じて「穏健派」として偽装し、政権転覆を推進した実態を明らかにしている。

Declassified UK
Revealed: The UK has spent £350-million promoting regime change in Syria A controversial Whitehall body — the Conflict, Stability and Security Fund — has used large amounts of money from the British aid budget to support the oppositi...
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